一人当たりの採用コストの平均は?人材確保にかかる費用を削減する方法

人を採用する際に必然的にかかってくる「採用コスト」。一人当たりどのくらいの費用がかかるのか、みなさんご存知でしょうか。実は「人を採用する」と一口にいっても新卒と中途ではコストに大きな差があるのです。出来るだけコストを抑えつつ、自分の会社で長く働いてくれる有能な人材がほしい」と思っている採用担当者の方にぜひ読んでいただきたいです。本稿では、採用コストの相場と削減方法をお伝えします。

目次[非表示]

  1. 1.採用コストとは?単価の計算方法
    1. 1.1.外部コストの内訳
    2. 1.2.内部コストの内訳
  2. 2.採用コスト単価の相場
    1. 2.1.新卒採用
    2. 2.2.中途採用
    3. 2.3.アルバイト採用
  3. 3.採用コストの推移
  4. 4.採用コストを削減する方法
    1. 4.1.ナビサイト以外で学生を集める
    2. 4.2.リファラル採用を増やす
    3. 4.3.離職率を下げる
    4. 4.4.自社の採用ホームページを活用する
    5. 4.5.採用動画を制作して公開する
    6. 4.6.選考途中の離脱を防止する
  5. 5.まとめ

採用コストとは?単価の計算方法

採用コストとは、会社が人を雇う過程でかかるコストのことです。求人掲載や面接といったトータルの費用を総称してそう呼んでいます。では、採用コストの単価は一体いくらかかるのでしょうか。その算出方法は、下記の数式で簡単に表すことができます。

採用コスト単価 = 採用コスト総額 ÷ 採用人数

例えば、採用活動に総額200万の費用がかかって4人を採用した場合、採用コストの単価は50万円になります。採用担当者としては、この総額を抑えつつも、多くの人材を採用できたら万々歳ですよね。その削減方法について説明する前に、コストにも「外部コスト」と「内部コスト」の2種類に分けられることを知っておくことが大事です。


外部コストの内訳

外部コストとは、その言葉通り、自分の会社以外で発生する=外部に支払うコストのことです。
主な外部コストは以下があります。

・求人広告費
・会社案内やパンフレットの制作費
・会社説明会やその会場費
・採用PR動画や採用WEBサイトの制作費

一般的に、外部コストは内部コストに比べて金額が高い傾向にあります。広告費やPR動画制作といった、ある程度、技術的なテクニックが必要なものは、高額になりやすいのです。この部分は自分の会社をより多くの人に知ってもらうのに適切なコストか今一度見直す必要があります。ただ、近年はSNSの時代でもあり、PRのコストを削減しすぎてしまうと、露出機会が減りエントリー数が伸びやなんでしまうリスクもあるので注意が必要です。

またこれらの業務をすべて外部の企業に委託してしまうと、別途委託料というものが発生するので、コストを削減したいと考えている企業はこの点も覚えておいた方がいいでしょう。

内部コストの内訳

一方、内部コストは、社内で発生する費用のことです。
主に以下のような内部コストが上げられます。

・採用担当者の人件費(面接の実施や説明会の運営など)
・応募者の交通費や宿泊費
・内定者の入社前研修の会場費や懇親会の交際費
・採用者の引越し費用

「説明会を実施したが、思うように人が集まらなかったので追加で開催する」「内定者が辞退したため、再度募集をかけることになった」といった事態が発生した場合は、さらに内部コストがかさむケースもあるので注意しておきましょう。


採用コスト単価の相場

就職みらい研究所が2018年から19年にかけて実施した採用市場調査「就職白書2019」によると、新卒採用時の採用単価は1人あたり平均72.6万円だったとのこと。
また、新卒・中途・アルバイトの3項目で見てみると下記のように採用コストに大きな差があります。同じ「人材」を雇うのにどうしてこんなにも違いがあるのでしょうか。


採用コスト単価

新卒

72.6万円

中途

82.8万円

アルバイト・パート

5.2万円


次項では、採用人材によって異なるコストのカラクリをそれぞれ解説します。


新卒採用

「就職白書2019」によると、2020年卒の新卒の採用活動は前年と比較してどうかという問いに、「変わらないと思う」と回答した企業が最も多かったのですが、「増えると思う」と回答した項目のなかで割合が高かった第2位は「新人採用コスト」(34%)でした。企業が人材の獲得競争で生き残っていくために、採用コストを増やす傾向がみてとれます。
2020年の採用プロセスにおいて、企業が情報提供や学生とのコミュニケーションのためにどこに力を入れようとしていたのかみてみると、主に以下の4つにしぼられるようです。
・自社ホームページ(約90%)
・自社単体説明会やセミナー:対面・WEB(約80%)
・学校主催の合同企業説明会・セミナー(約80%)
・企業主催の合同企業説明会・セミナー(約70%)
上位には入っていませんが、前年に比べてWebセミナーやソーシャルメディアは飛躍的に増加しました。

この調査結果をみていると、以下の採用コストが多く占めていることが推測されます。

・広告費
・PR動画制作費
・説明会やセミナーにかかる実施費(人件費や会場費など)

広告費は、自社を学生たちに認知してもらう重要なツールの一つです。いかにターゲットとする人材の目に留まるか、効果的な戦略が必要です。ただ近年、多くの企業がこの広告には力を入れており、なかには広告を得意とする専門知識を持った人を採用する企業も出てきています。広告の媒体で露出を上げようとすると、それだけで多額の費用がかかってしまいますので、広告を出す際はターゲットとする学生をより具体的に考え、その人材を獲得するためにはどこで、どのような広告を打ち出すとより届くかを、予算と調整しながら練ることがとても大切です。
自社ホームページで増えてきているのが、自社をPRする動画や採用のための特別Webサイトです。ここは、自社の魅力をPRする貴重な機会ともいえます。そうはいっても、動画のコンテンツ企画やWebサイトのデザインまでを外部に発注すると、高額なコストがかかってしまいます。最低限の情報だけを盛り込んで費用を抑えることも可能ですが、SNSなどで「見映え」がネットで取り上げられる近年、いかに他社と違ったユニークな仕様なコンテンツにするかが問われています。そのため、コストをただ削減するのではなく、予算と相談しながら、自社を最大限PRする内容やコンテンツを考える必要があります。

自社を知ってもらう「きっかけの場」となるのが、説明会やセミナーです。合同企業説明会では、「本命以外の企業の話を聞きに行こう」と訪れた学生も、他社の話を聞いているうちに「ここもいいかも」と思うきっかけを与える重要な機会なのです。しかし説明会やイベントを実施するとなると、会場費の「外部コスト」だけでなく、担当者の確保やその準備にかかる「内部コスト」が高くなってしまう可能性があります。「就職白書2019」によると、多くの企業がこの「内部コスト」を削減する傾向が強く、2020年の新卒採用にかかるマンパワーは「増加する」(36.4%)と回答しています。採用担当者一人にかかるコストを把握するだけでなく、いかに一人に負担をかけすぎないようにするかも同時に考えることが大切です。


中途採用

新卒の採用コストから、採用コストの概要が大体つかめてきたと思います。ここでは中途採用の採用コストについて説明します。
中途採用とは、社会人としてある程度の実績やスキルがあり、入社後即戦力としてなってくれる人物を採用するものです。一般的には不定期採用が多く、なかには通年募集している企業もあります。中途採用の人材は、他の企業である一定の社会的マナーや技術は取得しており、新卒と違い基礎研修などが必要ないため入社前の研修費用などが削減できる可能性があります。それでも採用単価コストが新卒より高いのはなぜでしょうか。
「就職白書2019」によると、2018年度の中途採用1人あたりの平均採用コストは、
・製造業 102.3万円
・建設業 97.8万円
と高額で、新卒採用時より約1.5倍の費用がかかっています。また中途採用市場は、18年の平均有効求人倍率(厚生労働省)が前年比の1.61倍と、1973年の1.76倍以来の高水準となっており、即戦力となる人材を採用するために企業が力をいれていることが読み取ることができます。


アルバイト採用

アルバイトやパートの採用コストは、新卒や中途採用に比べると低いものの、ツナグ・ソリューションズによると、採用単価は2009年2.9万円から2013年5.2万円に大幅に増額している。また有効求人倍率も2013年12月は1.09倍だったのが、2019年8月には1.72倍と高い水準になっています。
ミスマッチによるコストが無駄にならないよう、採用の半年間は研修期間として費用を抑えるなどの工夫も必要です。


採用コストの推移

採用コストの推移を見ていくのに鍵となるのが、求職者1人当たりに何件の求人があるかを表す「有効求人倍率」です。というのも、前記したように、採用コストは外部環境の影響を大きく受けており、有効求人倍率が上がると、多くの企業がその1人を確保するために「外部コスト」をはじめとするコストに多額のお金を投資する傾向にあるからです。

引用:就職白書2019

上記の表を見てみると、2009年以降、有効求人倍率は右肩上がりが続いています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時は求人率が低迷しましたが、2021年は東京オリンピック・パラリンピックの開催が現実味を帯び、さらにワクチン接種による人流抑制も緩和されると予想されることから、今後も増加傾向が続くと思われます。それゆえ、他社との差別化を図るため、採用コストも同じような推移をたどると予想されます。


採用コストを削減する方法

どうやったら採用数を減らずに採用コストを削減するかー、とても悩ましいですよね。ここからは、採用コストを抑えつつ、より効果的に採用活動を進めるための7つの方法をご紹介します。企業の特性に合わせて、費用対効果の高い採用方法に導入してみてください。

<採用コスト削減の7つの方法> 
・ナビサイト以外で学生を集める
・リファラル採用を増やす
・離職率を下げる
・自社の採用ホームページを活用する
・採用動画を制作して公開する
・“採用の歩留まり”を改善する
・選考途中の離脱を防止する


ナビサイト以外で学生を集める

マイナビやリクナビといった大手の就職情報サイトは利用者数が多い反面、広告掲載費が高いため、採用コストを削減したいと考えている企業には悩みの種ですよね。実はここ近年、無料で広告を掲載できたり広告費を安くおさえたりする
ことができる新しい媒体が登場しています。
その一つが新卒採用マーケティングサービスの「インタツアー」です。学生が企業をインタビューしてSNSで拡散してもらうことで認知度が高まるだけでなく、その後も定期的な動画配信などで欲しい学生の歩留まり改善を促し、状況に応じた適切なアプローチを実施することができるというものです。この「学生発信」×「SNS拡散」という業界初の画期的な取り組みは、すでに「FUJITSU」や「大林組」といった大手企業など4500社が導入しています。


リファラル採用を増やす

リファラルとは「紹介者」のことで、リファラル採用とは、自社の社員を通じて知人を紹介してもらう採用手法のことです。自社のことをよく知る人物がリクルーターとなって、自社に適切な知人や友人に声をかけるため、ミスマッチや広告費をかけずに採用活動ができるのが大きな利点です。実際、「就職白書2019」によると、就職活動プロセスの実施状況で「リクルーターと接触する」(26.5%)が「OB・OGなどの先輩を訪問する」(22.1%)と同様、実施率が増加しています。


離職率を下げる

自社をPRするために多額の費用をPR動画や広告費に費やす前に、離職率の減少に努めることが先決です。自社の離職率のここ数年どうかをきちんと分析し、増加傾向にある場合は福利厚生や社内制度で離職を抑制するような整理や研修制度を充実することが大切です。離職が減れば、新たに採用するプロセスが必要なくなるため、上記した「外部コスト」「内部コスト」を大幅に抑えることができるからです。


自社の採用ホームページを活用する

「就職白書2019」によると、就職活動中の学生の約80%が情報収集する手法としてあげたのが「自社のホームページ」です。意外と自社のホームページや採用ホームページの有効活用は見落としがちです。企業理念や社風などが伝わるページを作成することで、学生たちも「自分に合うかも」「働いてみたい」という意欲が高まります。また採用ホームページのリンクをさまざまなところに転載していくことで、自社にアクセスする学生数も増やすことができます。

いかに学生を引きつける採用ホームページを作成するかがポイントです。

採用動画を制作して公開する

歩留まりとは、そもそも製造業界で使用されていた業界用語で「ぶどまり」と読みます。採用の歩留まりとは、採用の各選考に進んだ人数の割合を指します。

歩留まり率の計算方法は、「選考通過数」÷「選考対象者数」×100となります。

例えば、内定承諾数5人で内定数が10人だった場合の入社の歩留まり率は
「実際に入社した人数(5人)」÷「内定を出した人数(10人)」×100=歩留まり率50%
となります。

つまり歩留まり率を改善する=辞退者数を可能な限り減らすことで採用コストを削減することができるのです。
採用プロセスにおける歩留まり率を可視化することで、どこにどのような課題があるのかミクロで改善することができます。


選考途中の離脱を防止する

上記した通り、採用歩留まりが低下しやすいタイミングを把握し、改善すれば歩留まり率を高めることができ、採用コストを低減できます。そのためには選考途中の離脱を防止することが大切です。
選考プロセスで歩留まりが低下するシーンとして、以下の2つがあげられます。

・面接
・内定出しから内定承諾、入社までの時間

面接を設定して、面接を実施するプロセスで歩留まり率は低下しやすいといわれています。書類選考や筆記試験と違い、応募者が直接来社することは応募者の心理的ハードルも高くなるからです。最近はオンラインによるWeb面接を採用する企業も増えており、競合他社の採用状況なども把握しながら採用スケジュールや採用方法を見直すことが大切です。

内定を出してから内定承諾やその後の入社で歩留まり率が低下するケースもあります。その場合、学生が他社と比較して魅力を感じてもらえなかった可能性が高く、競合他社に負けていると推測されます。また選考期間を長期化させないなどの工夫も必要です。長くなればなるほど、学生への負担も増え、また他社の企業について考察する時間を与えることにもなります。学生の中での優先度を下げないように注意しておくことが重要です。



まとめ

企業が限られた予算のなかで効率的に採用活動を行なっていくには、さまざまな戦略や考察が必要です。残念ながら、近年は人手不足などの影響で採用コストが増加傾向にあるのは事実です。費用対効果に見合った採用活動を行っていくためには、採用単価の多くを占める広告費やPR動画制作などの見直しや新たな採用方法への切り替えも選択肢の一つとして検討すべきです。

採用活動を行う前に、今一度「どのような学生を採用するのか」「自社の魅力を学生にどのようにPRするか」「PRするための外部コスト/内部コストはいくら必要か」を話し合い、明確な採用プランを立ててから予算を組み立てるようにしましょう。

自社に合った、効率的な採用活動を実施していきましょう!


参考リンク:
https://en-gage.net/content/how-to-cost-reduction#%E8%87%AA%E7%A4%BE%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%8E%A1%E7%94%A8%E5%BC%B7%E5%8C%96

https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2019/05/hakusyo2019_01-56_0507up.pdf

https://one-group.jp/humanresource/ad/recruitment_cost.html


https://bizreach.biz/media/17066/



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