キャリア採用とは?新卒・中途採用との違い・メリット・デメリットを紹介
企業を成長させていくうえで欠かせない採用活動。採用と一口に言っても、新卒採用、中途採用、キャリア採用とさまざまな採用方法があるのをご存知でしょうか。この記事では、なかでも近年注目を浴びているキャリア採用を取り上げます。キャリア採用のメリット、デメリット、そして採用活動で成功するために企業に押させていてほしいポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.新卒・中途とも違う、キャリア採用とは
- 2.キャリア採用のメリット・デメリット
- 3.キャリア採用が多い職種の代表例
- 4.キャリア採用を成功に導くポイント
- 4.1.採用したい人物像を明確にしておく
- 4.2.適切な給与相場・待遇を把握しておく
- 4.3.興味を持ってもらえるような求人を掲載する
- 4.4.会社の良い面ばかりを見せない
- 5.まとめ
新卒・中途とも違う、キャリア採用とは
近年は働き方も多様化し、転職活動も以前に比べて一般的になりつつあります。多くの人がさらなるスキルアップを目指して転職する傾向にあり、そこで注目を浴びているのがキャリア採用です。
キャリア採用とは、スキルを持った経験者を即戦力として採用することを指しています。
新卒採用は言葉の通り、その年に学校を卒業する新規卒業者を対象とした採用のことです。キャリア採用は、ある程度キャリアを重ねた人たちであるのに対し、新卒の対象者は大半が20代前半となります。
また中途採用は、新卒採用以外で不定期に行う採用活動ですが、就業経験のある人材を対象としています。一見、キャリア採用と似ていると思われがちですが、キャリア採用は就業経験のある人材のなかでも、特に「即戦力であることを重視している」といえるでしょう。
キャリア採用と中途採用を明確に分けるために、企業によっては応募要項に「◯◯の経験が◯年以上」などと具体的なスキルや経験条件を記載しているところが特徴です。
以下では、キャリア採用のメリットやデメリットを新卒と中途採用と比べてながらみていくことにしましょう。
キャリア採用のメリット・デメリット
各採用活動のメリットとデメリットを表で比較してみましょう。
メリット |
デメリット |
|
---|---|---|
新卒採用 |
・組織を活性化し、事業の成長に繋がる ・一度に入社研修ができ、効率性が高い |
・選考フローが長く、入社、戦力化まで時間がかかる ・学生と社会人とのギャップが、自分と会社とのギャップになってしまいやすい |
中途採用 |
・教育・育成費のコストが削減できる ・新しい知識やメソッドを獲得できる |
・すぐ転職する可能性がある ・若い世代が育たず、組織がマンネリ化する可能性がある |
キャリア採用 |
・即戦力として期待できる ・育成にかける時間やコストがそこまでかからない ・自社にはない新しいやり方やノウハウを吸収できる |
・未経験採用と比べ給与の相場が高くなる。 ・社風やカルチャーに馴染むとは限らない |
いずれの採用も一長一短ありますが、キャリア採用の場合は、採用直後から即戦力として期待できるため、育成にかける時間やコストがかからないというメリットがあります。一方で、新卒採用と比べると給与の相場が高くなる傾向がありますが、教育コストなどトータルで考えると多少給与が高くなったとしても十分見合う活躍をしてくれる可能性は十分に期待できます。
キャリア採用が多い職種の代表例
の職種にもキャリア採用がありますが、専門職の方が比較的キャリア採用が多くなる傾向にあります。
代表例として以下の職種があります。
• 人事・財務・法務
• 営業
• 営業企画
• Webディレクター
• データアナリスト
これらの専門的分野は、イチから人材を教育していくと即戦力となるまでにかなりの時間を要します。そのため、教育コストを考えるとキャリア採用で人材を採用した方が効率的だと考える企業も少なくないのです。
人事・財務・法務
人事・財務・法務の業務はキャリア採用が多い傾向にあります。
人事業務は面接スキルなどの人事経験が求められます。また効率的な採用を行う方法を知らなければ、人員計画通りに人を集めることが非常に難しくなります。
財務も、財務に関する知識のほか、金融機関などから資金調達をするためのプレゼンスキルなど、さまざまなノウハウが必要となります。これらを知らなければ企業の成長を鈍化させる可能性があり、経験が重視される職業といってもいいでしょう。
法務は、近年比重が高まっているコンプライアンスなどを含め「企業としてどうリスクを捉え、備えるべきか」という観点やノウハウが求められます。さらに大前提として法律の知識が必要となるため、知識にプラスアルファで経験が重要となっています。
以上のように、どの職業も知識に加え、高い経験値が求められています。そのため、多くの企業はこの分野で採用を行う際は即戦力を期待した「キャリア採用」を選択する傾向があるのです。
営業
意外に思われるかもしれませんが、営業職もキャリア採用を取り入れる企業が少なくないのです。ただ、営業は新規・既存、顧客規模、関わる期間などによっても経験を求めるかは異なります。営業としての「いろは」ができているということは、前記のどの条件になっても成果に直接結びつくため、企業にとっても採用後すぐに業績に関わってきます。そのため経験豊富な人材をキャリア採用で取り入れているケースも多いのです。
営業企画
営業企画とは、営業部門の人たちが目標を達成できるように戦略を立てて、その達成のために多方面からバックアップする業務です。業務内容は多岐にわたり、営業戦略の立案、営業実績の把握や対策、競合他社の情報収集などあります。これらのスキルは、新卒や経験が豊富ではない中途採用の人材では、成果を生み出すのに時間がかかるだけなく、教育コストもかかります。そのため、多くの企業が営業職としての経験がある人材をキャリア採用でとる傾向にあるのです。特に最近は、インサイドセールスやカスタマーサクセスなど対面で行うフィールドセールス以外にもチームや部隊を創ることが求められる場合が多いので、即戦力となる人材を確保できれば、自社の営業成績にすぐ成果が現れることが期待できます。
Webディレクター
Webディレクターとは、その名の通り、Webに関わる業務を担います、Webサイトを作成する際にエンジニアやWebデザイナーなどの制作スタッフをリードし、プロジェクト全体の進捗管理・品質管理を行います。クライアントの要望と作業現場の要望をバランス良く統括し、サイト作成に向けて業務を行います。Webディレクターは、いくつかの業務を掛け持ちで行うことが一般的です。
またコンテンツのクオリティを高めるため、企画や撮影・取材にも積極的に携わるケースもすくなくありません。Webディレクターと一口にいっても「企画・マーケティング」「アート・クリエイティブ」「営業」「システム」という4つのタイプがあるため、企業が求める技術をある程度持った人材となるとキャリア採用でとる傾向が強いようです。
Web業界は時代とともに求められるスキルは変わっていきます。企業が必要とするノウハウがある人材を採用できれば、時代の波に乗って、競合他社と差をつけることができます。
データアナリスト
データアナリストとは、データの分析を通して企業のビジネスでの意思決定を支援する業務です。ビッグデータの活用が期待されている昨今、多くの企業から引く手数多で重宝される職種の一つといえます。
データ分析と一言でいっても、その仕事内容は多岐にわたります。また業務も「コンサル型」と「エンジニア型」の2種類に分けられます。「コンサル型」とは、クライアントが抱える課題に対して仮説を立て、具体的な解決案の提案や施策実施後の検証などを行います。一方、「エンジニア型」は、データ分析の結果をもとに、サービスの品質向上を目的としてシステムの構築や改善を行うことが主な業務となります。この2つの業務は明確な線引きがあるわけではないため、一人のデータアナリストが両方を担う企業もあります。言い換えれば、どの業務もこなせるマルチな人材を企業が求めているといえます。そのようなスキルの高い人材確保は必然的にキャリア採用となるのです。経験豊富な人材を確保できる企業は、自ずと時代の最新情報を収集しながら成長していけることでしょう。
キャリア採用を成功に導くポイント
これまでの内容から「キャリア採用」をやってみたい!と思った企業もいるのではないでしょうか。
募集を開始する前に、企業側に注意してほしい点がいくつかあります。
それは次の4つです。
• 採用したい人物像を明確にしておく
• 適切な給与相場・待遇を把握しておく
• 興味を持ってもらえるような求人を掲載する
• 会社の良い面ばかりを見せない
いずれも採用担当者にとっては当たり前の内容かもしれませんが、ここで再度きちんと整理し、理解して採用キャリアを成功に導きましょう。
採用したい人物像を明確にしておく
キャリア採用に限らず、新卒でも中途採用でも企業が求める人物を明確化しておくことは採用フローにおける大前提のところです。キャリア採用は即戦力というところはポイントといいましたが、他の採用者たちと異なり、企業の業績に直結すると言っても過言ではありません。
例えば、来期の事業売り上げ目標が5億円になったとします。しかし今期の売り上げは3億円。この2億円の差を埋めるために、企業側は「どのようなスキル・能力を持った人材が必要か」を考え、採用する必要が出てきます。つまり、この2億円の差を埋める=業績に関わってくる人材を求めるということになります。
このように、経験・スキルを有している人材でなければ事業計画を達成できないケースがあります。だからこそキャリア採用を取り入れる企業が多いのですが、採用してもすぐに辞められてしまうと、計画の達成は難しくなるだけでなく、余計にコストがかかってしまいますよね。そのようなリスクを避けるためにも、採用したい人材い求めるスキル、志向性を明確化し、募集をかける必要があります。
適切な給与相場・待遇を把握しておく
求める人物像が具体的に決まったとしても、その人が応募してくれるかどうかは分かりません。少しでも求める人物像が自社に興味を持ってもらうためにも、給与の相場や待遇を把握しておくことはとても大切です。
たとえば、同じような職種の給与の相場が月給25万円であるのに対し、自社では給与が20万円であった場合、他に秀でた魅力がない限り、人材は他社に流れていく可能性があります。だからこそ、競合他社の給与の相場や待遇を知っておくことは重要です。
それらの情報は、転職サイトなどをチェックすればある程度分かります。最新の給与相場や労働環境なども併せて確認して、自社の基準と比較するなど、日々見直すように心がけましょう。
興味を持ってもらえるような求人を掲載する
求人掲載は、求める人材を確保する大切なツールの一つです。特にキャリア採用は、入社後すぐに即戦力となるため、多くの企業が求めており、採用の難易度は新卒や中途に比べ格段に高くなります。そのため、少しでも自社に興味を持ってもらえるようにしっかり企業の魅力を伝えることが大切です。
掲載する採用サイトには、必要なスキルや担う業務内容のほかにも、一緒に働く人や入社後のキャリア形成など、さまざまな情報を掲載するようにしましょう。また、やりがいやミッションなども具体的に明記しましょう。給与や福利厚生に関する情報はもちろん必要ですが、それだけでは入社後ギャップを感じ辞職する可能性も否めません。
まずは自社の魅力を整理し、他社との差別化を書き出すなど、少しでも興味を持ってもらえるような効果的なPRを行いましょう。
会社の良い面ばかりを見せない
自社の魅力を効果的に伝えることは大切ですが、脚色や良い面ばかりを見せてはいけません。というのも、入社がゴールではなく、スタートになるからです。採用後にしっかり定着し、活躍してくれることこそが本来の目的となります。
そのためにも、ミスマッチのない採用が大切です。募集段階で自社のいいところばかり伝えて、入ってみたら色々なギャップが生まれることがあります。だからこそ、良いところも必要ですが、ある程度リアルな部分を見せることも大切です。
自社で出来ないこと、整っていないことは、はっきり伝えましょう。自社入社後にギャップを感じて辞めてしまった場合、社員1名につき、企業への損害額は「約187.5万円」*と言われています。再度採用するとなると採用コストや教育コストがかかり、企業にとって大きな負担となってしまいます。それを避けるためにも、入社前からきちんと自社のリアルを伝えておくようにしましょう。
*参考:エン・ジャパン「なぜ人は辞めるのか?退職を科学する」
まとめ
近年、働き方も多様化し、転職でキャリアアップを行う人たちも増えてきています。同じく、企業側も求めるノウハウを兼ね備えた即戦力となる「キャリア採用」を導入する傾向にあります。若干給与は高い傾向にありますが、新卒や中途採用に比べ教育コストが抑えられるため、長期的にみえれば企業側にはメリットになります。
ただ、自社が満足するための採用活動を行うためには、求める人材の明確化しておくだけでなく、企業の良さやリアルをきちんと伝えておきましょう。入社後に「こんなはずではなかった」となって辞めてしまうと、即戦力として期待した結果が生み出せなくなるだけでなく、事業計画にも遅れが出るなど企業側にも大きなダメージとなります。
採用キャリアのメリット・デメリットをきちんと理解し、同業他社の採用情報など分析・収集してキャリア採用に取り組んでいきましょう。