採用のペルソナの作り方|ペルソナ設定に必要な項目を解説!
人材採用を担当する方は「ペルソナ」という言葉を聞いたこともあるでしょう。ペルソナ(Persona)とはスペイン語に由来し、英語では人(Person)を指します。採用したい人物像を、まるでその人物が実在しているかのように設定していくことです。この設定は人材採用でなぜ必要なのでしょうか。また設定していく上でのコツは何なのでしょうか。
この記事では、ペルソナについて知っている人も、知らない人にも分かりやすく説明していきます。
目次[非表示]
- 1.人材採用のペルソナとは?
- 2.人材採用でペルソナを設定するメリット
- 2.1.求めている人材を採用できる
- 2.2.社内で共通認識を作ることができる
- 2.3.入社後の離職を防ぐことができる
- 3.人材採用のペルソナ設定の方法
- 3.1.1:関係部署や経営陣と必要な人物をヒアリングする
- 3.2.2:採用の目的を明確にする
- 3.3.3:求める人物像の要件を書き出す
- 3.4.4:求人情報の形式に合うよう要件を絞り込む
- 3.5.5:設定したペルソナを採用基準として活用する
- 4.ペルソナを設定するときの注意点
- 4.1.状況に合わせてブラッシュアップする
- 4.2.細かすぎるペルソナ設定はNG
- 5.まとめ
人材採用のペルソナとは?
前記したように、ペルソナ(Persona)とは、英語でいう「人(Person)」を指します。会社が求める人物像を、まるでその人物が実在しているかのように具体的に設定していくことです。マーケティング業界でもサービスを利用する顧客像を膨らます際に使用される用語ですが、意味合いがことなるので気をつけましょう。人材採用で使われる「ペルソナ」設定とは、人材の性別・年齢・現職・家族・年収・ライフスタイル・趣味など「実際にいそうな架空の人物」を作り出すことです。これにより自社が採用したい人物像をよりイメージしやすくなります。
ペルソナとよく間違えやすいのが「ターゲット」です。
参考リンク:https://www.jmsc.co.jp/corporate/recruit/17/
上記のように、二つの用語の使用方法は一見似ていますが、設定方法や作り上げる人物像が大きく異なります。ペルソナは既存のものからではなく、自分たちで一から人物像を作り上げていきます。また一人の人物を具体的に設定していきます。
人材採用でペルソナを設定するメリット
人材採用でペルソナを設定すると何がいいのでしょうか。一般的には次のようなメリットがあると言われています。
• 求めている人材を採用できる
• 社内で共通認識を作ることができる
• 入社後のミスマッチを防ぐことができる
以下で、それぞれの具体的なメリットを解説していきます。
求めている人材を採用できる
新しい人材を複数の応募者の中から採用するとなると、全員を総当たりで面接するというのは非常に人的コストと時間がかかります。少しでも効率的に採用活動を行うためにも、自社が求める人材を具体的に設定しておけば、そこにそぐわない人材を採用枠から省いていくことができます。それがつまりは求めている人材を採用することにつながっていくのです。
具体的に設定しておくことで、求人広告にもどんな人材を求めているか明確に記載できるだけでなく、応募者側も企業側がどういう人材を求めているかを把握することができます。また採用の度に、会社の経営状態や時代の流れに合わせて必要な人材を把握できるというメリットもあります。
社内で共通認識を作ることができる
ペルソナを設定することで得られるメリットの二つ目は、社内で共通認識を作ることができるという点です。採用担当者や面接官も一人の人間です。それぞれ趣味趣向が違うように、採用活動でもさまざまな意見や感情が生まれます。面接をした際に、「この人良さそうだな」と雰囲気でプラスに捉えてしまうこともあるでしょう。しかし採用活動では、主観的な感情が入り込むと、採用基準がぶれるだけでなく、採用にもムラができてしまう可能性があります。
ペルソナを設定することで採用基準が明確になり、選考過程で面接官が変わったとしても、どういう人を自社が採用したいのかという共通認識を共有しながら採用活動を行うことができるため、取りこぼしをなくすことができます。また採用後ミスマッチを防ぐことができるというのも大きな利点です。採用担当者のなかでブレが生じると、入社後に「こんなはずではなかった」というケースも生まれてしまうかもしれません。ペルソナをきちんと設定しておくことで、ミスマッチを極力防ぎ、合否の判断を公平かつ迅速に行うことができます。
ペルソナの詳細や判断基準を記載した準備シートなどを作成し、採用関係者に事前に共有しておきましょう。口頭で打ち合わせるなどしてお互いに認識にズレがないように確認しておきましょう。
入社後の離職を防ぐことができる
入社後3ヶ月以内に辞めてしまった場合、社員1名につき、企業への損害額は「約187.5万円」*と言われています。再度採用するとなると採用コストや教育コストがかかり、企業にとって大きな負担となってしまいます。入社後の離職を防ぐためにも、ミスマッチを防ぐことはとても大切なことです。
*参考:エン・ジャパン「なぜ人は辞めるのか?退職を科学する」
ペルソナ設定では、応募者の「趣味」「嗜好」「価値観」「人生観」まで掘り下げて考えるため、社風や経営戦略とあっているかどうかも判断しやすくなり、入社後に「思っていたのと違う」というギャップを軽減できるのです。
人材採用のペルソナ設定の方法
それでは実際にペルソナを設定していきましょう!
ここからはその手順をご紹介します。
【人材採用のペルソナ設定の手順】
1. 関係部署や経営陣と必要な人物をヒアリングする
2. 採用の目的を明確にする
3. 求める人物像の要件を書き出す
4. 求人情報の形式に合うよう要件を絞り込む
手順方法は、前章で解説した内容と似ている部分もありますが、ここでもう一度順を立てて理解し、実行に移していきましょう。
1:関係部署や経営陣と必要な人物をヒアリングする
まず、ペルソナ設計に向けて関係部署や経営陣から自社が求める人物像をヒアリングしましょう。経営戦略や市場の動きなど経営側の将来の展望に合わせて、どんな人材がこれから求められるかをすり合わせるためです。また綿密なペルソナを設計する際には、人事担当者だけでなく、採用後に配属される部署のメンバーや、何かとつながりが深い部署のメンバーに社内の各所に意見を求めることも大切です。
聞き取りを行う際は、その部署や会社が求める人物を具体的にするということを心がけましょう。海外進出を計画しているならば、「英語ができる」「海外への興味がある」「コミュニケーション力が高い」などの人物像を設計しましょう。ただ聞き取る際は、人物像の業務経験やスキルだけでなく、性格や志向などの情報も含めて提供してもらうようにしましょう。
2:採用の目的を明確にする
次に採用の目的を明確にしましょう。人を採用するという目的のなかにも、採用は単なる増員なのか、新規プロジェクトのために必要な人材なのか、欠員の補充なのかなど、その時々に応募してさまざまな目的があります。まずはどの部署が何のために、どういうことをその採用人材に期待するのかという目的を書き出しましょう。
その際に業種にもよりますが、今求める人材が将来会社の目指す方向(例、海外進出など)と、ある程度同じであるかも照らし合わしておきましょう。現場と経営側では求める人物像にズレがあるかもしれません。設計をする際はそのズレを調整することも大切です。
3:求める人物像の要件を書き出す
それでは求める人物像の要件を具体的に書き出してみましょう。
明確にすべき要件は主に以下のようなものです。
【明確にすべきペルソナ要件】
• スペック(年齢、性別、学歴、年収)
• 経験、スキル
• マインド、価値観
• 趣味、志向性
例えば「国際協力の分野で長年真面目に働いてきた30代女性で、そろそろキャリアアップを考え、自分の得意な英語や高いコミュニケ力を生かして仕事を探している」といったように、その求人票で応募すると思われる人材をイメージしていきます。 そこから、子どもは何人いるのか、趣味や悩みは何かなど、事細かにその人となりを自由に書き出していくのです。
ここで大切なのは、質より量です。とりあえず思いついたままに自由に書き出すということが大事です。質にこだわりすぎてしまうと、ペルソナ設計が狭まってしまいます。
4:求人情報の形式に合うよう要件を絞り込む
色々な要件を書き出したなかから、求人情報の形式に合うように絞り込んでいきましょう。例えば前記した人物を求めるのであれば、
「ビジネスレベルの英語」
「コミュニケーション力が高い」
「3年以上の国際分野での勤務」
などが上げられます。
できるだけ具体的に書くことで、応募者側も求める人物像がイメージしやすいようにします。
5:設定したペルソナを採用基準として活用する
上記で設定したペルソナを採用基準として活用しましょう。具体的な人物像を採用担当者間で共有しておくことで、選考フローで面接官が変わっても会社が求める人物像をブレることなく選考することができます。また採用担当者以外にも、入社した人物が配属される部署の関係者たちにも設定したペルソナを共有しておくことで、入社後の教育などにも生かすことができます。
ペルソナを設定するときの注意点
設計の際にはいくつか忘れてはいけない注意点があります。
【ペルソナを設定するときの注意点】
・ 状況に合わせてブラッシュアップする
・ 細かすぎるペルソナ設定はNG
この二つは大切なポイントなので、以下で詳しく解説します。
状況に合わせてブラッシュアップする
ペルソナ設定は一度設定したら終わりではありません。同じ設定をずっと使い続けるのではなく、状況に合わせてブラッシュアップすることが必要なのです。例えば、採用活動で「こういう人材がほしい」と具体的に設定していても、いざ応募者を見てみると、そういう人物がいなかったり、思うように人材が集まらなかったりするケースも予想されます。その際、「ペルソナ設定で決めた人しか採用しない」としてしまうと、最悪誰も採用しないケースも出てきてしまうからです。採用活動では、ある程度柔軟性を持つことも大切なことです。ペルソナ設定をしたからといって、それに誇示し完璧を求めないことも大事なことです。
細かすぎるペルソナ設定はNG
ペルソナは、ターゲットなる人物像を思い描くことから始まります。多くの場合、年齢や性別などの基本データから、住んでいる場所、所属、趣味など細かい部分までも設定していきます。ただしここで注意する必要があるのは、細かく複雑な設定は禁物ということです。細かすぎると、そのぶん応募してくる人の選択肢も狭まってしまいますある程度、複数の応募者に当てはまる・共通するという項目を残しておくことが大切です。
【ペルソナ設定NG例】
・留学経験あり(米国1年、英国2年)
例えば、会社で「留学経験があり、ビジネスレベルの英語力がある人」を採用したいと考えているとします。留学経験があるところを「英国や米国などへの留学経験」と限定し書いてしまうとしましょう。この二カ国に特化したビジネスを展開している企業でない限り、この二カ国に絞る必要もなく、応募者からすれば「カナダや英語圏のアフリカは該当しないのか?」となりますよね。また国を限定することで、応募者もかなり狭まってきてしまうことも理解しなければなりません。こういう時は「英語圏への留学経験」としておくことで、ある程度自社が求める人物像が複数人応募してくる可能性があります。
このように細かい設定は必要であるものの、その細かい設定が「本当に必要なものなのか」ということを今一度考える必要があります。また細かい設定から、採用評価でどれを優先して評価するかというのも社内で共有しておくことも大切です。
まとめ
ペルソナ設定は、採用活動を成功させるための大事なツールの一つです。設定のためには、採用担当者だけでなく関係部署や経営陣との連携や理解も必要不可欠です。また一度ペルソナが完成しても、使用するなかで想定している人物像と現実に変化が見られた場合には、設定を見直すということも大切です。競合他社の求める人物像などを求人サイトからリサーチするなどして、現在の社会のニーズも調査しておく必要があります。
時代の変化や自社の目的に沿って、常に適切なペルソナ設定をしていくように心がけましょう。