ダイレクトリクルーティングとは?|メリット・デメリット・採用までの流れを徹底解説
ダイレクトリクルーティングは、これまでの採用方法とは異なる新しい人材発掘の手段です。日本ではまだ黎明期にあたる採用方法ではありますが、すでに海外では活発に用いられています。これまでの採用方法では的確な人材を得るのに時間がかかると考えている採用担当者の方に、ぜひご検討いただきたい手段です。本稿では、ダイレクトリクルーティングの詳細と、メリットやデメリットをお伝えします。
目次[非表示]
- 1.ダイレクトリクルーティングとは
- 2.ダイレクトリクルーティングが注目される背景
- 3.ダイレクトリクルーティングのメリット
- 3.1.潜在層へのアプローチも可能
- 3.2.採用コストの削減
- 3.3.ミスマッチによる離職防止
- 3.4.スピーディーな採用が可能
- 3.5.採用ノウハウの蓄積
- 4.ダイレクトリクルーティングのデメリット
- 4.1.業務負荷の増加
- 5.ダイレクトリクルーティングの一般的な流れ
- 6.ダイレクトリクルーティングは認知拡大が鍵
- 7.まとめ
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、応募を待つのではなく欲しい人材に直接アプローチする採用方法です。これまでの、採用希望者からのアプローチを待つ方法とは一線を画し、企業側からアクティブに動くことが大きな特徴です。従来の代表的な採用方法とダイレクトリクルーティングとの違いを、下記にまとめました。
最も業務負荷のかからないのは人材紹介ですが、成功報酬型のため優秀で年収が高い人材を複数採用すると採用コストがかさみます。一方求人サイトは無料で出稿できるところもありますが、成果を求めるために結局有料オプションを使うことも多いうえに的確な人材からの応募が来ない可能性も含みます。ダイレクトリクルーティングの場合は、直接人材にアプローチしますので業務負荷はどうしてもかかります。しかし、基本的にはダイレクトリクルーティングサービスの人材データベースを利用する料金を支払う形のため、採用コストを抑えることが可能です。
ダイレクトリクルーティングが注目される背景
ダイレクトリクルーティングが注目を集める理由の一つに、少子化に由来する労働力人口の不足が挙げられます。総務省統計局の「人口推計」によると、2020年の労働力人口は前年比18万人減となっています。人口減少は今後も続く見通しであることから、優秀な人材を確保するのが今後ますます難しくなっていくと考えられます。採用の成功率を上げるための一つの新しい手段が、ダイレクトリクルーティングなのです。
また、ITツールの発達もダイレクトリクルーティング普及の要因です。多くの人が自己アピールの場としてSNSを活用するようになり、かつては難しかった直接の接触が可能になりました。企業側から個人へと積極的にアプローチするダイレクトリクルーティングができる環境が整ってきたといえます。SNSが若い人を中心に根付いていることから、今後ますますダイレクトリクルーティングの普及が進むと考えられます。
ダイレクトリクルーティングのメリット
ダイレクトリクルーティングには、これまでの採用方法と比較したときに下記のようなメリットがあります。このあと、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
●潜在層へのアプローチも可能
●採用コストの削減
●ミスマッチによる離職防止
●スピーディーな採用が可能
●採用ノウハウの蓄積
潜在層へのアプローチも可能
潜在層とは、今すぐに転職をしたいのではなく条件の良いところがあれば検討しようと考えている層のことです。彼らは転職を急いでおらず、「現在よりも良い条件であれば転職を考えたい」「将来転職するときのために情報を収集しておきたい」という考えで、人材紹介や求人サイトではなくダイレクトリクルーティングサービスに登録する傾向があります。このように、積極的に求職活動中ではない優秀な人材にもアプローチすることが可能です。
採用コストの削減
人材紹介では紹介料が、求人サイトでは広告の掲載費がその都度かかります。採用人数が増えるほど、採用活動の期間が長くなるほど、どんどんコストがかさんでいきます。それに対してダイレクトリクルーティングは、基本的には人材データベースの利用料のみで、人材へのアプローチは自社で行うことから前者二つの採用方法よりもコストをカットすることができます。ただし一部、成功報酬型のダイレクトリクルーティングサービスもありますので、サービス内容をよく確認することをおすすめします。
ミスマッチによる離職防止
人材紹介の場合、担当者にどのような人材を欲しているかを伝えて紹介を待ちます。しかし、いざ紹介を受けた際に思っていた人材とは異なるというミスマッチが発生することがあります。ミスマッチの理由として、担当者は自社の人間ではありませんので社風や欲しい能力の解釈を誤っている可能性があります。また、成功報酬は採用者の年収をもとに計算されるため、年収が高いイコール能力が高い、と考えられているケースもあります。ダイレクトリクルーティングでは、社風や欲しい人材の詳細を知った自社の担当者がアプローチします。年収だけではなく、持っている能力などをよく分析して人材を探しますので、ミスマッチが起こりにくくなるのです。
スピーディーな採用が可能
求人サイトや人材紹介から採用をする場合、第三者であるエージェント企業を通すことになりますので稟議を通すことから始まり、要件の作成、掲載する原稿のチェックなど募集を始めるまでにやるべきことがとても多く、どうしても時間がかかってしまいます。ダイレクトリクルーティングの場合は、人が欲しいと思ったらすぐに行動を開始することができます。実際に人材探しを始めるまでの時間は、ダイレクトリクルーティングのほうがスピーディーです。
採用ノウハウの蓄積
ダイレクトリクルーティングは、人材紹介や求人サイトに携わっている採用のプロの手を借りず、自社で人材にアプローチします。自社に興味を持ってもらうにはどうしたらよいのか、社風を理解してもらうにはどう伝えたらよいのかなど、優秀な人材にアプローチする方法を自ら考えて実践します。そして、それらの取り組みの成果が分かりやすいのも特徴です。これを繰り返すことにより、効果的なアプローチ方法を見いだしていきます。ダイレクトリクルーティングは、優秀な人材を採用する傍らで採用ノウハウを蓄積し、自社の採用力も高めていくことができるといえるでしょう。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
ここまで、ダイレクトリクルーティングのメリットを紹介してきましたが、この採用方法にはデメリットもあります。下記に、ダイレクトリクルーティングのデメリットを挙げ、詳しく解説していきます。
●業務負荷の増加
●採用までに時間がかかる場合もある
業務負荷の増加
先ほどダイレクトリクルーティングのメリットで「スピーディーな採用が可能」とご説明しました。それなのにデメリットが「採用までに時間がかかる」のは、アプローチする人材次第といえます。
ダイレクトリクルーティングでは潜在層にも声をかけられる半面、彼らは急いでいないのでこちらをじっくりと見極めようとします。質問に対応するなどやりとりを重ね、堅苦しくない顔合わせの場を設けるなど、時間をかけたアプローチが必要です。欲しい人材が潜在層であった場合は、求職中の人よりも採用までに時間がかかります。
また、採用までに要する時間や成功率は、ダイレクトリクルーティングを実際に行う担当者のスキルに依存します。自社で採用を始めたばかりの頃は、まだ採用ノウハウの蓄積も少なく手探りであるため、時間がかかると考えられます。担当者が育ち、採用ノウハウが蓄積されるとスピードも上がっていくでしょう。
ダイレクトリクルーティングの一般的な流れ
ダイレクトリクルーティングによる採用までの、一般的な流れを下記にご紹介します。
1.候補者を探す
ダイレクトリクルーティングサービスの人材データベースやSNSなどで候補者を探します。
2.気になる人をスカウト
ダイレクトリクルーティングサービスのメールを配信システムや、SNSのダイレクトメッセージなどの機能を利用して最初のメッセージを送ります。
3.メールや面談で意思を確かめる
候補者から返信があれば、やりとりを重ねて入社意向を高めるように導きます。
4.人事と相談
候補者から前向きな言葉が得られたら、人事と相談して面接をセッティングします。現場と人事、双方の意志を統一し、面接の方針などを打ち合わせておきます。
5.条件交渉・内定
ダイレクトリクルーティングは、入社したがっている人ではなく入社してほしい人へのアプローチです。せっかく見いだした優秀な人材を確保するため、最終段階まで気を抜かず口説きます。
ダイレクトリクルーティングは認知拡大が鍵
ダイレクトリクルーティングによる採用を成功させるためには、認知の拡大が重要です。近年、ネット上での詐欺行為の横行などから優秀な人材ほど警戒心が強く、知らない企業からのメールはスルーされる可能性が高い傾向にあります。しかし、口コミなどが目に入れば警戒心を解きやすく、やりとりをしてみようという方向に持っていける可能性も上がります。
口コミは自社発信よりも第三者からのほうが共感を得やすいものです。そこでおすすめなのが「インタツアー」です。インタツアーは、学生に向けた情報発信を学生が行う異色のサービスです。学生が企業にインタビューを実施し、そのレポートをSNSで発信します。SNSに敏感な学生の目に付きやすく、また同じ学生という立場のため共感が得られやすいのが特徴です。インタツアーから興味を持った学生には、直接アプローチすることも可能です。インタビューを受けるだけで業務負荷もさほどかからず、採用成功の機会を広げてくれます。
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、人材紹介や求人サイトといったこれまでの採用方法とは異なり、人材に直接アプローチする手段です。優秀な人材を早期に、確実に確保できるだけではなく、採用コストの削減や自社へのノウハウの蓄積など、メリットが多いのが特徴です。自社の採用方法などを見直したうえで、導入を検討してみてはいかがでしょうか。