通年採用とは?新卒一括採用との違いやメリット・デメリット、実施企業を紹介

近年、企業の間でじわり普及している「通年採用」。かつて大学生の就活といえば、3月からエントリーを始め、6月から選考が開始する「新卒一括採用」が通例でした。
この通年採用は、これまでの採用方法とどう異なるのでしょうか。またメリット・デメリットは何でしょうか。今後、通年採用を導入したいと考えている企業向けに、既に通年採用を取り入れている大手企業を事例に分かりやすく説明いたします。

目次[非表示]

  1. 1.通年採用とは?
  2. 2.通年採用と一括採用の違い
    1. 2.1.新卒の通年採用はいつから?経団連の動き
  3. 3.通年採用のメリット
  4. 4.採用にかける時間を確保でき、ミスマッチを防ぎやすい
    1. 4.1.留学経験者や既卒・第二新卒など多様な人材を確保できる
  5. 5.通年採用のデメリット
    1. 5.1.優秀な学生の取り合いが激化する
    2. 5.2.活動期間が長期化するため採用コストがかかる
    3. 5.3.入社後の集中教育がしにくい
  6. 6.通年採用を実施する大手企業の一例
    1. 6.1.ソフトバンク
    2. 6.2.楽天(エンジニア職)
    3. 6.3.ファーストリテイリング
  7. 7.通年採用で良い人材を確保するためのポイント
  8. 8.まとめ

通年採用とは?

引用元:https://www.jiji.com/jc/v7?id=201809shukatsu

言葉通り、通年(年間)を通して採用活動を行うことを指します。グローバル化に伴い、留学をする学生が増え、大学側が帰国子女や留学経験者などを受け入れるために秋入学制度を導入。それをきっかけに企業も多様化する学生を受け入れようと、通年採用を設置したことがはじまりとされています。



通年採用と一括採用の違い

一括採用とは、企業が一斉に春季に新卒を採用する手法です。通常の採用活動は3月にエントリーが開始され、6月から面接が始まるイメージです。この3ヶ月に特に集中するイメージです。

一方の通年採用は、年間を通して採用を行います。春や夏の就活に間に合わない留学経験者や既卒者を採用できるのが特徴です。
採用競争が激化する今日、採用にかける時間に余裕が生まれる通年採用にシフトする企業も増えてきています。



新卒の通年採用はいつから?経団連の動き

新卒の通年採用は2022年から活発になるだろうと言われています。
日本の就活ルールの舵取りをしているのは「経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)」という組織です。学生の本業である学業が就活でおろそかにならないよう配慮し、新卒採用は毎年3月に広報活動、6月に採用活動が解禁になるという仕組みをつくりました。

引用元:https://www.jiji.com/jc/v7?id=201809shukatsu

しかし2018年に経団連の中西会長(当時)が、これまでの就活ルールに疑問を呈したことをきかっけに2021年度で廃止が決定しました。22年度以降は、政府が主導する新ルールに切り替わると予想されているのです。

実際、就職みらい研究所「就職白書2020」によると、2021年卒採用で「通年採用を検討している」と答えた企業は25.1%と、4社に1社が通年採用を検討している結果が出ています。今後、この制度を導入する企業がますます増えてくると思われます。



通年採用のメリット

通年採用を実施する企業側のメリットは主に二つあります。

・採用にかける時間を確保でき、ミスマッチを防ぎやすい
・留学経験者や既卒・第二新卒など多様な人材を確保できる

具体的にどのような、メリットがあるのか以下で見ていきましょう。


採用にかける時間を確保でき、ミスマッチを防ぎやすい

一括採用は、就活解禁日の3月1日から一斉に採用活動を実施するため、優秀な学生を獲得するために採用にかける時間が十分に取れないということが挙げられます。限られた時間のなかである程度の人数を確保し、かつ人材の質の見極めるのは至極至難の技です。とはいっても、企業の採用活動の実態は、大学3年の6月からスタートし、4年の4月〜6月に内定を出しています。つまり水面下では通年で実施されているのです。
そのため、期間的には一括採用と通年採用とでは変わらないのですが、通年採用の場合は「大学卒業して4月入社」「新卒としての特別待遇」というのが変化するのが大きな特徴です。
近年、内定辞退率は年々増加傾向にあり、ミスマッチは企業間での大きな課題となっています。通年採用で時間をかけてじっくり学生と向き合うことは、入社後のミスマッチが発生しにくいと考えられています。

引用元:https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/naitei_20s-20200330.pdf

一方、通年採用は年間をかけてじっくり学生と向き合うことができるため、入社後のミスマッチが発生しにくいと考えられています。


留学経験者や既卒・第二新卒など多様な人材を確保できる

春季の一括採用では、海外留学生やインターン経験者などが就活に参加しにくいスケジュールになっています。例えばアメリカの大学は9月入学が一般的です。卒業時期は取得単位数などによって異なりますが、主に5月〜6と言われています。そうなると、日本企業に就職を考えている学生たちは4月からの就職活動に参戦できないだけでなく、大学3年から解禁する採用活動に参加しようとしても、面接のための帰国時間が確保できないなどの不利が発生してしまうのです。

近年、企業ではグローバル化に伴い、経験豊かで多彩な人材を求めるようになってきました。
通年採用は時期による縛りがないため、そういう人材を確保・採用しやすくなっているのです。



通年採用のデメリット

通年採用は一見、メリットばかりのようですが、実はデメリットもあります。
それは主に3つです。

・優秀な学生の取り合いが激化する
・活動期間が長期化するため採用コストがかかる
・入社後の集中教育がしにくい

以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。


優秀な学生の取り合いが激化する

一括採用のルール撤廃により、学生たちの就活の早期化が予想されます。ということは、これまで足並み揃えて始めていた企業側の採用活動も、通年で行えるため、優秀な学生の取り合いが激化する可能性があるのです。

大手企業などは大学1〜2年生を対象にしたインターンなどを実施したりして、優秀な学生を早い時期から囲い込もうとあの手この手を尽くしてくると予想されます。実際、すでに「1、2年生歓迎 インターン生募集」という情報サイトもよく目にするようになりました。
例:https://www.in-fra.jp/long-internships/features/4
  https://careerbaito.com/job/8112

1、2年から参加できるインターンは「短期」と「長期」の2種類があり、短期は1日〜1ヶ月の無給、長期は3ヶ月以上で有給という形態を取っているところが多いようです。こういう手法をとる企業が増えてくると、採用活動にコストがかけられる知名度高い大手企業に求める人材が流れてしまう恐れがあるのです。


活動期間が長期化するため採用コストがかかる

短期決戦の春季一括採用に比べ、年間を通して実施する通年採用は採用コストが大幅に増えてしまいます。

学生との面談時間や回数が増えるだけでなく、そこにかける費用や人の割り振りなどが、採用活動に十分なキャパシティがない企業には大きな負担になる可能性があります。また採用広告の掲載期間も長期化し、就活イベント出展の機会も増加することが想定されます。

コストやスケジュール管理がとても大切になってきます。


入社後の集中教育がしにくい

春季一括採用された人たちは通常、大学卒業した年の4月に一斉に入社して社内研修に参加します。しかし通年採用の場合は入社してくるタイミングが人によって異なる傾向が多いため、それに伴う入社者を対象とした研修を全員一緒に行うことが難しく、誰かが入社するたびに、そこに人を充てる必要があります。

そのため、人的コストと教育コストが大きくなってしまうのです。



通年採用を実施する大手企業の一例

ここからは、通年採用を実施している大手企業(ソフトバンク、楽天、ファーストリティリング)の具体的な採用方法をご紹介します。


ソフトバンク

ソフトバンクは2015年より「ユニバーサル採用」をいう制度を設けています。

引用元:https://recruit.softbank.jp/career/recruit/universal/

挑戦意欲がある人に門戸を開いた制度で、募集対象は新卒・既卒問いません。一度就職した人でも再挑戦することが可能で、自由な時期に自己の意思で活動を行えるように工夫しています。

また就労体験型のインターンシップ制度を設けており、この選考方法も自己の最適なアピール方法で選考に臨めるというユニークな手法を採用しています。


楽天(エンジニア職)

楽天は、エンジニア職を希望する人を対象に以下をメリットに挙げ、通年採用を導入しています。

引用元:https://corp.rakuten.co.jp/careers/graduates/recruit_engineer/

通常の採用は、採用されてから部署などが決定しますが、楽天は、応募の時から、希望の職種と希望のサービスを記入してもらい、それに沿って選考を進めていきます。入社前にどのような部署で、またどのような専門性を持った仕事を担当してもらうか具体的に決めていくのです。

また給与や個人の能力や経験によって決まるため、これまでの経験を生かし即戦力として働いてもらうことを期待しています。


ファーストリテイリング

ファーストリティリングが経営する「ユニクロ」も通年採用を導入しています。

引用元:https://www.fastretailing.com/employment/ja/fastretailing/jp/graduate/recruit/allyear/

ユニクロは就活の主役は「個人」と定義し、どのタイミングでも挑戦できる機会を提供しています。例えば大学1、2年生でも就活が可能だけでなく、過去に受験して不合格になった人でも再チャレンジできる機会を提供しているのです。

また選考を通過した人には「ユニクロパスポート」を発行。発行から3年以内であればこのパスポートを持っている人は、だれでも最終面接を受けることができるユニークな手法を取り入れています。



通年採用で良い人材を確保するためのポイント

通年採用はメリットも多い反面、企業によって応募時期が分散されるため応募者の比較が困難となり、企業側も選考が難しくなることが予想されます。
そのため良い人材を一人でも確保するために、以下の通年採用のポイントを押さえておきましょう。
・採用要件を十分定義する
・採用したい人物像を明確にする

ポイントを押さえておけば、通年採用はメリットが盛りだくさんです。
採用コストは上がってしまうものの、ミスマッチが軽減できるため、学生との面談の回数を惜しまず、積極的な対話を心がけるなど質を高めていきましょう。また長期的な目で見れば、離職率を下げることにつながり、結果的には採用コストを低減できるのです。

そこでおすすめしたいサービスが、新卒採用マーケティングサービス「インタツアー」です。1~4年生まで幅広い大学生に対して情報を訴求し、興味を持った学生を年度跨いでフォロワーとして蓄積していくことができます。
長期的かつ定期的にコミュニケーションをとっていくことで、徐々に志望度を高めつつ、志望度を落とさないといった施策が自動で提供できます。つまり、通年採用に最適な仕組みです。しかも学生目線で企業をPRしてくれるサービスのため、学生と企業のギャップを埋めることができるだけでなく、採用コストを節約することができます。



まとめ

春季一括採用から、通年採用の流れに変わりつつある今日。
通年採用は、年間を通して採用活動が行えるため、グローバル化に必要不可欠な多様な人材を採用しやすくなるというメリットがあります。
一方で、通年で実施するため採用コストや人的コストが一括採用よりもかかってしまいます。また企業側の就活一斉スタートがなくなるため、一人でも多くの優秀な人を採用しようと競争も激化していくと予想されます。

大手企業などの情報も参考にしつつ、自社のキャパシティに合った採用方法を取り入れていきましょう。


参考リンク:
https://www.fastretailing.com/employment/ja/fastretailing/jp/graduate/recruit/allyear/ https://corp.rakuten.co.jp/careers/graduates/recruit_engineer/
https://recruit.softbank.jp/career/recruit/universal/
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/07/hakusyo2020_01-48_up.pdf
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/naitei_20s-20200330.pdf
https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article/20200330001/
https://www.jiji.com/jc/v7?id=201809shukatsu
https://www.neo-career.co.jp/humanresource/knowhow/a-contents-newgrad-tsunensaiyo-181113/#chigai
https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2021/01/post-427.html

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