採用面接の基本的な流れ|面接官の役割と押さえておきたい心得を紹介
選考の終盤で行われることが多い採用面接において、応募者の適性を見抜き、会社に必要な人材を確保する役割を担うのが面接官です。本稿では採用面接の基本的な流れを確認するとともに、面接官の役割、面接官をする前に知っておくべきことについて解説します。面接官を任された方、面接官を選ぶ立場の方はぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.採用面接の基本的な流れ
- 1.1.アイスブレイク
- 1.2.会社紹介
- 1.3.履歴書・経歴書を見ながら質問
- 1.4.応募者からの質問
- 1.5.入社の事前確認
- 2.面接官が担う役割
- 2.1.応募者の適性を見極める
- 2.2.適性のある応募者を入社に繋げる
- 2.3.会社の広告塔
- 3.面接官の心得
- 4.“質”の高い応募者獲得のためには
- 5.まとめ
採用面接の基本的な流れ
一般的な採用面接は下記の流れで展開します。
1.アイスブレイク
2.会社紹介
3.履歴書・経歴書を見ながら質疑応答
4.応募者からの質問
5.入社の事前確認
上記の流れに応募者の自己PRなどが入るケースもありますが、基本的には上記の流れで面接を行えば応募者の個性やスキルを把握できるでしょう。それぞれのステップでするべきことを、以下で詳しく解説します。
アイスブレイク
アイスブレイクとは、面接開始直後に応募者の緊張をほぐすために行う5~10分程度の会話のことです。面接は緊張するものですが、応募者がガチガチに緊張したままでは本来の実力が発揮できず個性やスキルを見誤ってしまうかもしれません。応募者がのびのびと本来の実力を発揮できるよう、気軽に回答できる当たり障りない日常会話などをして場を和ませましょう。下記に、アイスブレイクに使える質問例を挙げます。
【アイスブレイクに使える質問例】
暑く(寒く)なってきましたね。体調は大丈夫ですか?
ここまで、どのような交通手段で来たのですか?
面接って緊張しますよね。○○さんは緊張なさっていますか?
昨晩はちゃんと眠れましたか?
○○大学出身なのですね。付近の○○(有名飲食店)は行きましたか?
会社紹介
会社紹介では、下記のような内容を長くなりすぎないように話しましょう。
●会社の沿革
●主要事業
●この先の展望
会社紹介の前に、面接官自身の自己紹介を行ってください。自己紹介で話すことは名前や役職、現在担当している業務などがよいでしょう。続いて、会社紹介を行います。応募している時点で企業研究していると思われるかもしれませんが、就活で何社もエントリーするため期待するほど会社への理解が深くない応募者も少なくありません。また、会社紹介を行うことで、応募者一人ひとりを大切にしている印象を与えることもできます。
履歴書・経歴書を見ながら質問
履歴書・経歴書の内容を深掘りする質問を行います。事前に応募者の履歴書に目を通しておくことはもちろんですが、その場で質問を考えるだけではなく、すべての応募者に共通する質問をいくつか準備しておくとスムーズに進められるでしょう。下記に、質問例をいくつか挙げます。
【履歴書・経歴書を見ながらの質問例】
なぜこちらの大学(専門・短期)を選ばれたのですか?
これまでの経歴で、もっとも糧になったと思うのはどの時期で、どんな出来事ですか?
これまでの経歴で、もっとも大きな成功を収めたと思う出来事と、その成功のために頑張ったことを教えてください
(転職の場合)前職の業務について説明してください
(転職の場合)前職で掲げていた目標を教えてください
応募者からの質問
応募者への質問が終わったら、次に応募者からの質問を受け付けます。応募者が疑問、不安に思っていることはできるだけ面接中に解消するよう心がけましょう。疑問や不安を持ち帰らせてしまうと、いざ採用しようとしたときに不安な気持ちから辞退を選ぶ可能性があります。また、応募者発信でやりとりをしておくことは、お互いのマッチ度を最終確認するためにも有効です。
入社の事前確認
最後は選考のための質問ではなく、事務的な事項を確認します。具体的には入社可能日や希望年収、今後の予定などです。
面接官が担う役割
面接官の役割は、応募者に質問をするといった単純なものではありません。面接官には、下記の役割が期待されています。
●応募者の適性を見極める
●適性のある応募者を入社に繋げる
●会社の広告塔
面接官は採用の要であると同時に会社の顔であり、人材と会社のかけ橋です。このため、面接官にはコミュニケーション能力に長けている方、会議などの進行が得意な方、営業能力のある方、聞き上手な方などが適しています。面接官は自分が話す立場ではなく聞く立場であることを理解して相手の話を引き出し、たとえ不採用だったとしても会社に悪い印象を与えないように接することが必要です。
それでは、面接官の役割について、以下で詳しく解説します。
応募者の適性を見極める
面接官の第一の役割は、応募者と会社の欲しい人材が合致しているのかを見極めることです。履歴書などの応募書類はあらかじめ受け取っていますが、書かれているのは経歴や資格といった情報や推敲が可能な自己PRのため体裁を整えられます。しかし、実際に顔を合わせて話をすれば、応募者本来の個性が垣間見えるでしょう。具体的には、下記のポイントを中心にチェックします。
●コミュニケーション能力
●仕事へのモチベーション
●経歴書と応募者に差異がないか
会話をすることでコミュニケーション能力やとっさの対応力、会社への理解度やモチベーション、履歴書などの応募書類に正しい情報を記載しているかどうかがわかります。面接官は、応募者に威圧的な印象を与えないよう留意しながら、これらの情報をうまく引き出しましょう。
適性のある応募者を入社に繋げる
応募者と会社のマッチ度が高いと判断できれば、今度は入社してもらえるよう導きます。そのためには、面接官が発言できる限られた機会で会社の説明や応募者の疑問解消をしなければなりません。会社の魅力を伝え、「入社したい」と改めて思ってもらえるのが理想です。面接官には自社の魅力を適切に伝え、不安や疑問を解消する営業のようなスキルも求められます。
会社の広告塔
面接官は、会社の顔です。特に応募者にとっては、会社代表である面接官は会社そのものでしょう。そのため、面接官の振る舞いひとつで会社へのイメージが変化してしまう可能性も十分にあります。もしも応募者に失礼な振る舞いをしてしまったら、その情報がSNSなどで広まってしまうかもしれません。採用不採用に関係なく、すべての応募者に対して丁寧な対応を心がけましょう。
面接官の心得
面接官が心得ておくべきNG行動を下記に挙げます。
●意図が伝わりにくい質問をしない
意図や目的がはっきりわかるように質問しましょう。遠回しだったり漠然としたりしていて質問の意図や目的がわかりにくいと、応募者が困り、スムーズに進行しません。ただし、相手の判断力を見極めるために、あえて意図や目的を隠した質問をすることもあります。
●不快になるような話題は避ける
家族の職業や資産、住んでいる場所の詳細、恋人の有無など、選考に関係ないプライベートに踏み込み過ぎた質問は避けましょう。また、支持政党や宗教、ひいきのスポーツチームなど意見が割れやすい質問もよくありません。
●高圧的な態度もNG
面接官は会社の広告塔であることを意識し、丁寧に接しましょう。高圧的な態度だと、圧迫面接だと思われかねません。高圧的な態度としては「他社の内定は断るか」といった回答しづらい質問やため口、腕や足を組むなどが挙げられます。
“質”の高い応募者獲得のためには
質の高い応募者を得るためには、採用ブランディングや採用マーケティングを行う必要があります。採用ブランディングとは、会社をブランド化することによって求職者に魅力を発信する手法で、採用マーケティングとはマーケティングの手法を採用に取り入れて応募者を分析し、欲している情報を届ける手法です。社風や業務内容を発信することで、会社への理解が深くマッチ度が高い人材の応募を促します。ただし、これらの手法にはSNSの頻繁な利用などの業務負荷がかかります。
そこで活用したいのがインタツアーです。インタツアーは、学生が会社へインタビューを行ってレポートを作り、SNSで拡散します。学生の投稿は、年齢や立場が近い就活生の目にとまりやすく効果的です。レポートの執筆からSNSへの投稿まで学生に任せられることで業務負荷が減るため、採用ブランディングや採用マーケティングと組み合わせて活用するとよいでしょう。
まとめ
採用面接における面接官の役割は、応募者に質問を投げかけるだけではありません。会社の顔として振る舞う、応募者が実力を発揮できるよう誘導する、良い人材を確保できるよう入社意欲を高めるなど面接官に求められる役割は多岐にわたります。また、面接で留意すべきこともしっかりと理解しておかなければなりません。選考の最終段階を任せられる面接官を育成し、必要な人材の確実な確保に繋げましょう。