採用マーケティングとは|注目の理由やメリット、具体的な手法・手順を公開
働き手の母数が不足の一途を辿る中、採用競争も激化しています。他社に先んじて優秀な人材にアプローチするために、マーケティングの手法を採用に取り入れた「採用マーケティング」が注目されています。特に新卒や第二新卒の採用マーケットでは顕著です。この記事では、採用マーケティングの具体的な手法や効果について解説します。現在の採用方法に一石を投じたい人事担当者さまは、ぜひご一読ください。
目次[非表示]
- 1.採用マーケティングとは
- 2.従来の採用活動と異なる点
- 3.採用マーケティングが注目される理由
- 3.1.人材確保の競争激化
- 3.2.求職者のニーズの多様化
- 4.採用マーケティングを行うメリットとは
- 4.1.希望する人材を確保しやすくなる
- 4.2.採用コストが削減できる
- 5.採用マーケティングの具体的な手法・手順
- 5.1.自社分析
- 5.2.ターゲット・ペルソナの設定
- 5.3.ニーズの調査・分析
- 5.4.効果的な採用施策の選定
- 5.5.PDCAを回す
- 6.採用マーケティングにはインタツアーがおすすめ
- 7.まとめ
採用マーケティングとは
採用マーケティングとは、マーケティングの手法を採用活動に利用する手法のこと。マーケティングと同じように、採用したい候補者のニーズを明らかにして候補者とのコミュニケーションに活かし、効果的な採用活動に繋げます。採用したい候補者への効果的なアプローチが可能になる手法です。
従来の採用活動と異なる点
採用マーケティングは、これまでの採用活動と下記の2点において大きく異なります。
●採用プロセス
●ターゲット層
従来の採用活動と比較して、採用プロセスはより持続的に、ターゲット層はより広いのが採用マーケティングの特徴です。
これまでの採用活動では、就活イベントなどを通じて自社情報を拡散した後、興味を持った候補者からの応募を待つスタイルでした。しかし、優秀な人材の獲得競争が激化している昨今、より積極的かつ広いアプローチが必要になります。採用マーケティングの手法では、ターゲットに情報を届けるだけでなく自社のファンになってもらうよう、より深いところまでアプローチして応募意欲を向上させます。
また、採用後も定着率を上げるためにフォローをするなど、継続的な活動を行います。ターゲットも学生のみならず退職者の再雇用も可能性に含むなど、より広い視野での採用活動となります。
採用プロセス
これまでの採用活動では、就活イベントなどを通じて自社情報を拡散した後、興味を持った候補者からの応募を待つスタイルでした。しかし、優秀な人材の獲得競争が激化している昨今、より積極的かつ広いアプローチが必要です。採用マーケティングの手法では、ターゲットに情報を届けるだけでなく自社のファンになってもらうようアプローチ。また、社員が退職した後の再雇用を見据え、現役の社員にも自社のファンになってもらえるよう、社内報などの社内広報活動を行います。
ターゲット層
従来の採用活動は、今まさに就職、転職しようとしている求職者をターゲットとしていました。一方、採用マーケティングでは、下記のような人たちがすべてターゲットとなります。
●就活生
●転職潜在層・顕在層
●退職者
●過去に不採用となった応募者
●内定辞退者
●自社の社員
転職潜在層とはすぐに転職を考えていない人たちのことで、顕在層は潜在層と同様に今すぐ転職しようとは考えていないが、いずれはしたいため情報は欲している人たちです。彼らに自社の魅力を伝え、転職への意欲向上を目指します。
また、すでに退職した人や不採用者、内定辞退者は一度自社について知った後、他社を経験しています。この、他社での経験は非常に貴重なもの。他社を知り、より育った状態で戻ってもらえれば大きな戦力となります。
自社の社員も重要なターゲット。社員が外部に向けて発信する情報には説得力があり、外に新しいファンを創出します。また、彼らの心を掴んでおけば退職した後に戻ってもらえる可能性も上がるのです。
採用マーケティングが注目される理由
採用マーケティングは、近年注目度が高まっている採用手法です。注目される理由として、下記のものが挙げられます。
●人材確保の競争激化
●求職者のニーズの多様化
少子高齢化などの理由で起こる人材確保の競争は、今後も継続していくと考えられます。また、インターネットにより求職者が手軽に情報を得ることができるようになり、ニーズの多様化に繋がりました。詳しくは、下記で解説します。
人材確保の競争激化
採用分野においての売り手とは求職者、買い手は企業です。求人数に対して求職者が多い場合、企業側が人をじっくり選べる「買い手市場」であり、逆に求人数に対して求職者が少ない場合は求職者がじっくりと企業を選べる「売り手市場」となります。今後、新卒マーケットでは学生数が減少していくことは周知の事実であり、また求人数もポストコロナ時代において団塊ジュニアが定年を迎える数年先を見据え増加の一途をたどることが予想されています。このため、優秀な人材の確保は他企業との競争になると考えられます。現在から今後数年は、「売り手市場」が継続する見通しです。
求職者のニーズの多様化
労働環境の見直しが図られ、多くの企業が働き方を改革している昨今。さらに、インターネットを駆使することにより、働き手が他業界、他企業の情報を収集できるようになりました。このような理由から働き手の意識や価値観に変化が生じています。求職者が企業を探す際も、給与金額や休暇制度だけではなく、将来のために得られるものや人間関係など価値観に合わせた情報を欲しています。このようなニーズに合わせた情報発信をすることで、転職潜在層や顕在層に自社を広め、彼らがいざ転職活動を開始した際に入社を検討してもらえるように導きます。
採用マーケティングを取り入れないと、上記のように多様化した求職者のニーズに合わせられなくなってしまいます。彼らが何を考え、どのような情報を欲しているのか、リアルタイムで把握していくことが肝要です。
採用マーケティングを行うメリットとは
採用マーケティングを導入することで、下記に挙げるようなメリットが見込めます。
●希望する人材を確保しやすくなる
●採用コストが削減できる
求人サイトや就活イベントで応募してきた求職者は、第一希望として明確な志望意欲をもって応募しているというより、数社ある横並びの併願企業の中の1社でしかない応募状況を鑑みると、必ずしも前向きではなく、社風や業務への理解度も低いことから希望する人材である可能性が低い傾向があります。また、求人サイトや人材紹介は、掲載料や紹介料などのコストがかさみます。これらの問題を解決する手段として、採用マーケティングの導入をおすすめします。下記で、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
希望する人材を確保しやすくなる
採用マーケティングで求職者をよく分析することで、彼らが欲している情報をピンポイントで届けることができます。社風や業務内容、社長や上司の情報や福利厚生など、求職者が魅力的だと感じてくれるような情報を的確に発信します。このような活動を通じて、会社をよく理解したうえで興味を持ってくれている求職者による母集団が形成され、質の高い候補者を得ることができるのです。
採用コストが削減できる
採用マーケティングを通じて得た人材は、定着率が高い傾向にあります。会社にとって希望の人材である可能性が高く、入社した社員も会社をよく理解しており、ミスマッチによる早期離職が起こりにくくなります。採用効率が上がれば頻繁な募集を行う必要がなく、結果として採用コストが削減できることになります。また、広告費や紹介料が必要な従来型のリクルーティングよりも情報をまめに発信する手間はかかりますが、経費は抑えられます。
採用マーケティングの具体的な手法・手順
ここからは、採用マーケティングの具体的な方法について見ていきましょう。実際に導入する際は、下記のようなステップでマーケティング活動を行います。
1.自社分析
2.ターゲット・ペルソナの設定
3.ニーズの調査・分析
4.効果的な採用施策の選定
5.PDCAを回す
上記の手順は、マーケティングのプロセスとほぼ同じです。マーケティングと同じように調査、ターゲッティング、分析を行います。それぞれのステップについて、詳細を下記に解説します。
自社分析
求職者にアピールすべき自社について、改めて分析します。具体的には経営理念や強み、弱みなど。分析の方法としては、Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つのCを分析する「3C分析」や、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(市場機会)、Threat(外部脅威)の4つを分析する「SWOT分析」といったフレームワークを活用するとよいでしょう。これらを再認識しておくことにより、採用の現場での効果的な戦略を見出すことができます。
ターゲット・ペルソナの設定
ただ「優秀な人材をターゲットに」だけでは、的確なターゲッティングができているとはいえません。どんな人材が必要なのか、自社の状況をしっかりと把握したうえでアプローチする対象となるペルソナをピンポイントに絞り込みます。「企画力のある若手」、「人前で話せるプレゼン能力」といったように、具体的に欲しい能力や個性を言葉にしておきましょう。
ターゲットをしっかりと絞り込み、詳細を深掘りすることで、その対象となるペルソナに向けたアプローチ方法を見出します。広い対象へのアプローチはできませんが、欲しい人材に対して的確にアプローチすることにより、結果として時間や手間の削減になるでしょう。
ニーズの調査・分析
定めたターゲットが、どのようなニーズを持っているのかを調査、分析します。ターゲットとなる人材が会社に求めているものは何か、重要視している条件はどのようなものか、現在興味を持っている企業はどこかなどといったところまで深掘りします。調査、分析したうえでターゲットが欲している情報を的確に発信すれば、興味を持ってもらいやすくなります。
効果的な採用施策の選定
ターゲットのニーズを調査、分析した後に、そのニーズを満たすような採用施策を選定します。調査や分析が戦略のフェーズなら、採用施策の選定は戦術のフェーズといえます。ダイレクトソーシングやソーシャルリクルーティング、リクルーターによるアプローチなど、今回のターゲットに対してはどのような採用施策が向いているのかを考えます。求人サイトも複数あり、それぞれにカラーが異なりますので、出稿する媒体もよく検討します。できるだけターゲットに届きやすい施策を選定することが大切です。
PDCAを回す
選定した施策を実施してみたら、PDCAを回して改善を促します。PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)という一連のサイクルのこと。サイクルですから終点はなく、何周も回すことにより改善点を模索し続けます。企業において、採用は常に検討すべき課題です。PDCAを回し続けることにより、現在よりもさらに良い採用施策を追求してください。
採用マーケティングにはインタツアーがおすすめ
採用マーケティングを迅速に、効率的に行う手助けとして「インタツアー」がおすすめです。インタツアーは、学生が企業にインタビューし、そのレポートを複数のSNSを通じて拡散するサービスです。
採用マーケティングでの活用方法として、インタビューの内容によって拡散したい情報の調整が可能になります。SNSでの情報拡散も任せられるうえに、リスクモニタリングを導入しているため炎上を防ぐことができます。また、ユーザーとなる学生はマイページで気になる企業をフォローします。フォローした学生には、情報を随時送信できます。フォロワーの学生から優秀な人材を探し、彼らが欲しがっている情報を積極的に発信することで就職先候補に入れてもらえるよう促します。
まとめ
採用に、マーケティングの手法を取り入れることは、優秀な人材を的確に抑えるために有効な手段です。欲しい人材をハッキリと定めたうえでターゲットのことを調査、分析し、最適な採用施策を用いて彼らにアトラクトできる情報を発信します。応募を待っているだけでは、優秀な人材の確保に出遅れてしまいます。ターゲットのことを知って、彼らが動く前に先回りして情報発信をすることで、必要な人材を確実に採用していきましょう。